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入会 ・ 会報 |
● 樹木調査隊 |
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書籍紹介 |
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No.2
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某大学内のシラカバですが、10cmぐらい皮がむかれています。誰かがいたずらで剥いたのでしょう。でもその行為は、伐採しなくても簡単に木を枯らす方法なのです。ぐるりと完全に形成層を剥かれると、たった10cmの幅であっても葉からの糖が根へ送られなくなってしまいます。 | ||||||
しかしこの木はわずかに形成層が残っていて、上と下の樹皮をつなぎ盛り上がっています。枝先を見ると少しだけ葉が残っており、そこで作られた糖はこの盛り上がった橋をわたり、根に送られているのです。シラカバは決して長生きする木ではありません。シラカバを侵す病害虫は多くせいぜい20〜30年で枯れてしまいます。でも少しのチャンスがあれば、わらでもつかんで生きようと努力しています。もうすぐ死ぬからとあきらめることはしないのです。わずかなチャンスに賭けてがんばっているシラカバを見て、泣かされるなーと感動していましたが、数ヶ月後伐採されていました。本当に泣かすシラカバでした。 | ||||||
会報No.10より |
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この木はクスノキです。根元にまるでブタの鼻のような穴が2つあいています。かつてここに2本の太い根があったのでしょう。それが、道路を舗装される際に切断されたのだと思います。工事をする人は、何の気なしに切ったのでしょうが、かなり大きな傷です。頼りにしていた太い根を切られたら、いろんな問題が起こってきます。水を吸う根がなくなると、それに対応した上の枝も枯れてしまいます。根の切断あとには腐朽菌が入り、穴があいてしまいました。幸か不幸かこの木はクスノキです。クスノキは箪笥の防虫剤などに使われる樟脳を持っているので、少々の切断には強い方です。クスノキだったから、こんなに切られても生き延びられたのでしょう。写真下のアスファルトの割れ目は、他の根ががんばって太くなっていることを示しています。 | ||||
会報No.11より |
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右の木はつるにまかれた木です。フジやブドウなど、いろいろなツル植物にまかれると、最初、木は締め付けられた部分を太くして、つるをどけようとします。ツルが太くなり、その部分が成長できなくなると、そのまわりの成長を早めて、つるをのみこもうとします。何かの原因でつるが枯れてしまうと、つるの圧力によってへこんでいた部分の形成層が急激に成長を早めてその部分がかえってとびでてしまうことがあります。でも、木の形成層が押しつぶされて死んでしまうとそこかららせん状に腐ってしまします。この木はつるとの戦いに勝ちましたが、戦後処理(へこんだ部分の修復)は大変だったと思います。 | ||||
会報No.13より |
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