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Q9.コフキサルノコシカケって、なぜ傘の上から胞子を出すのでしょう。管孔があるのは、胞子を作ってまくためではないのですか?
あと、胞子をまく季節は梅雨が多いのでしょうか?梅雨も秋も年に2回胞子を作ったりすることはあるのでしょうか?
フキサルノコシカケ Ganoderma applanata
東京都小金井市 岩谷撮影
A9.さるのこしかけの仲間は,傘の下側に管孔ができ,胞子がその内面に形成されます.
コフキサルノコシカケは多年生のきのこですから,長年にわたって成長します.ふつう直径20-30cmのものをよく見かけますが,ときには80cm以上になることもあります.

多年生のコフキサルノコシカケは,長期間に(何年にも)わたり胞子をつくります.また,1年のうちでも何ヶ月にもわたり胞子を放出します(5月から10月頃まで).冬の寒い時期や,夏の乾燥した期間は胞子の放出は,休むのではないでしょうか.
また,胞子の放出には日周リズムがあり,昼間より夜の間に多くの胞子が放出されます.厚い膜に包まれた胞子は,管孔から夜の間にとびだして空中を漂っている間に,傘の表面に落下し,夜露などがあると傘の表面に付着します.それを見た人は,胞子は傘の表面に形成されるのでは,と勘違いする訳です.傘の表面はチョコレート色の粉を散布したような状態になるため(写真参照),コフキタケともよばれます.

マンネンタケもコフキサルノコシカケによく似た胞子を作ります.そのため, コフキサルノコシカケやマンネンタケは,マンネンタケ科として分類されます.両種とも木材の白色腐朽(白ぐされ)を起こし,分解力が強いので,さるのこしかけの仲間のうちでは,進化したグループと考えられています.マンネンタケの栽培農家を7〜8月頃に訪問すると,栽培用のビニールハウス内は,チョコレート色の胞子が地表面に堆積し,マンネンタケの傘の上にもうずたかく積もっているのが観察できます.
私の友人はこの胞子を集めて,筆につけて書道のように字を書いたり,絵を描いています.墨とはまた違ったおもむきがあります.(横山和正)
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